そば店経営 古本恵士さん 古本智子さん

愛知県→美濃

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古き良きものに囲まれて  丁寧に積み重ねる毎日

美濃市の中心部にある「うだつの上がる町並み」は全国でも有数のうだつが多くある江戸の町並みを残す。立派なうだつの上がる古民家でそば店を営む古本夫妻が美濃と出会ったのは、本当にたまたまだった。「犬山みたいな古い町並みでそば店をやりたいと思ってたら、同僚が岐阜出身で美濃市を教えてもらって。それまでは来たこともなかった。」

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初めて訪れた美濃の町並みに魅了され、たまたま入った観光協会で商工会議所に案内され、とんとん拍子に今の大家さんを紹介された。「他でも話を進めていたけれど、流れが美濃にあった。大家さんがとてもよく相談に乗ってくれて。」保育園に通う子ども二人を連れての移住だったので、周囲の人々の温かさも大きな決め手だった。

もう一つの決め手となったのが、一番近くにある美濃保育園だった。「見学に行ったら、とにかく雰囲気が良くて、先生が一生懸命で。家の前から歩き送迎もしてくれるし、ずっとやらせたかった歌や踊りを本格的に教えてくれるのも魅力的でした。」と智子さんは言う。

こうして移住してきた古本さんだが順風満帆なことばかりではなかった。10月に開店して11月は目の回るような忙しさだったのに、12月に入ると客足はがたんと減った。寒風吹きすさぶ町並みには観光客が来ないのだ。「最初はびっくりしたけど、波があるのはしょうがない。どうやって乗り切るか。」恵士さんは苦笑いする。客は増えた方が嬉しいけれど、増えすぎて住みにくくなれば町としては衰退してしまう。「今の町並みがバランスいいと思うんです。古くから代々住み続けている人が火の神様を大事に祀り続けている。移住者も増えて欲しいけれど、この町並みは美濃市の大切な財産。大事にしてくれる人に住んでほしい。」

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朝、外に出て空気を吸うと山の香りがする。自転車が好きな恵士さんは、子どもと一緒に早朝サイクリングを楽しんでいる。5月に開催されるツアー・オブ・ジャパンも必ず親子で観に行く。インターも近く交通も便利。名古屋まで直通バスもある。スーパーは三軒もあるし、欲しいものがあればネットで買える。古いものが好きな智子さんは、近所から譲り受けた古い棚などを大事に丁寧に直して使っている。ちょっとした家具は自分で作ることも多い。古本家の日常はゆるやかな時間の中で丁寧に流れて行く。

furumoto_04「絵本とそばを味わう会」も定期的に開催。