市民ライター記事

住み続けたい美濃の色彩の魅力

2023.12.05

美濃に移住して約1年半。私が体験した美濃の色彩の魅力をご紹介できればと思います。

息を呑むほどの強烈な色彩体験

美濃に移住して、とても驚いたことは、印象深い色彩が突如としてハレの日に現れることでした。

春の美濃まつりでは、濃い桜色に染められた無数の美濃和紙をつけた花みこしがうだつの上がる町並みを乱舞します。

歴史的な風情漂う町並みが一瞬にして鮮やかな色彩で満たされる様子は、今までに経験したことのない強烈な色彩体験でした。

また、夏には地域の子ども達のために夜祭が開かれるのですが、その小さなお祭りさえも幻想的です。

うだつの上がる町並みの両側には、青竹に鮮やかな赤い提灯が揺れる竹飾りが並びます。

こうしたハレの色彩が際立つのは、ケとしての日常が落ち着きある洗練された地色になっているということだと思います。

我が家には小学生の子がいますが、美濃っ子達はこの緩急あるハレとケの景色を当たり前に感受して育つのだと思うと、なんという贅沢だと感じます。

豊かな自然に育まれた色彩感覚

この美濃特有の色彩感覚のルーツについて少し考えてみました。

美濃で1年を暮らしてみると、四季折々の自然の色を目の当たりにします。

「春」になると、山の木々に一斉に新芽が芽吹き、枝先の小さな緑は日々刻々と変化して山を包む大きな緑になっていきます。そこに山桜や山藤などの木々の花が彩りを添えます。

「夏」になれば、日本でも指折りに暑い美濃ですが、美濃っ子達は堪らず深く透き通った長良川ブルーの川に飛び込みます。

「秋」になれば、田んぼの稲穂が黄金色に輝き、山の紅葉は緑色から黄、赤へとグラデーションに変化します。

「冬」美濃は山が近いせいか、晴れていても急にパラパラと時雨れる少し曇ったような景色になり、静寂の色に包まれます。

美濃での暮らしには、都会では感じることができなかった自然の色の美しい変化が身近にあり、もしかすると洗練された色彩感覚のルーツとなっているのかもしれません。

うだつの上がる町の夜

それから、美濃の夜間景観も魅力的です。

うだつの上がる町並みには、暖かみのある電球色の照明が連続しています。

地域の方の協力を得て、統一されたデザインの照明器具を美濃市が店舗などの軒下に設置し、電気代を半分ほど負担することで夜間景観が保全されているそうです。

人間は、生活リズムと太陽光の関係から、夕日を思わせる暖かい光から安らぎや落ち着きを感じるといわれています。

そこには、目まぐるしく情報が映し出されるデジタルサイネージなどは一切ありません。

目に飛び込んでくる情報は自ずと最小限になり、すーっと心が落ち着いていくのがわかります。

美濃らしい景観を守り育てる一員に

美濃の町並みをふらっと歩くと、歴史ある古い建物に新しいおしゃれなお店がのれんを出しています。

歴史ある古いものが大切に保存され、新しいものがきりっとした佇まいで融合している。私はそんな美濃の町が大好きになり、これからも長く住み続けたいと考えています。

新参者ではありますが、地域の一員として美濃らしい景観を守り育んでいけたら嬉しいです。

この記事を書いた人

谷口 さゆり

デザイナー。2022年4月美濃に家族で移住。前職では、建物の色彩計画や景観まちづくりに携わっていました。
自然と歴史が身近に感じられる美濃暮らしを満喫しつつ、地域を楽しくするマルチデザイナーとなるべく活動中です。

同じカテゴリの記事

記事一覧に戻る