愛知県・静岡県→美濃
古民家に住む 木に囲まれた豊かな生活
森林文化アカデミー(美濃市)は全国有数の森や木について学べる専門学校である。ここへの入学がきっかけで知り合った横井さん夫妻は、結婚してアパートに住む時、美濃市にこだわった。仕事で県内全域を周る敦史さんにとっては、インターが近く両方向へ高速が伸びている交通の要所であることが便利であり、何より二人が学生生活を過ごした美濃市に愛着があった。折よく新婚世帯への家賃補助もあった。
子どもが生まれて手狭になり家を建てようと思った時、敦史さんはやはり美濃市にこだわった。「アカデミーが近いし、仕事関係の知り合いも近くにいるし…。やっぱり美濃市がいいですね。」優子さんは関市でも良かったが、美濃市の幼稚園や保育園などの子育て支援の手厚さは魅力的だった。
そんな時、たまたま見かけた物件に二人は魅了されてしまった。二回にわたり増築された母屋。奥に向かって昔からの座敷が伸びていて、窓からは広い庭が見える。最初に家を建てた方はかなりの洒落者だったらしく、柱や天井、欄間に至るまで随所に装飾が施されている。アトリエとして使えそうな土蔵もあった。小学校も中学校も歩いて安全に通える。二人は素晴らしい家を手に入れた。
木工職人として独立した敦史さんは、美濃市で一歳児にプレゼントされるウッドスタート事業の木のおもちゃ「つみあゆ」を製作している。他にもおもちゃの需要は多く、忙しい毎日を送っている。優子さんは二人の子育てで毎日フル回転! いずれは子どもを保育園に預けて仕事をしたいと思っていて、認定こども園の存在がありがたい。新しい家は気に入っているが、近所にお年寄り世帯が多く、子どもと同年代の子がいないことが気がかり。小学校に上がるまでに、若い世代が移住してきて一緒に通学できるといいのに…と思う。
美濃ひのき+長良川のアユ=つみあゆ
アカデミー卒業の二人は、美濃市とアカデミーがもっと密に連携をとって、卒業生が美濃に残ってくれることを願っている。もっと林業や木工関連の雇用が多くあれば、アカデミーの卒業生も美濃に住みやすくなる。横井さんご夫妻の夢は、広大な新居を改装してシェアハウスにすることだ。自分たちで直せるところを少しずつ直して、夢は少しずつ現実に近づいている。