移住者インタビュー

築約150年の古民家を再生したシェアオフィスのコミュニティマネージャー

2023.11.01

profile

橋元 麻美

2021年に東京から美濃市へ家族で移住。まちごとシェアオフィスWASITA MINOのコミュニティマネージャーを務めています。

美濃市相生町にある「相生町長屋」明治初期に建設されたと推察される「相生町長屋」には、7家族30人近くの人々が住んでいた時期もあり、150年以上前から、さまざまな暮らしが集まる長屋として、美濃の町に親しまれてきました。そんな歴史ある長屋をリフォームして生まれたのは「まちごとシェアオフィスWASITA MINO」

今回は移住者でありWASITAのコミュニティマネージャーを務める橋元さんにお話を伺いました。

海外?地方?美濃へ辿り着いたきっかけ

橋元さんは東京の蒲田に住んでいて約2年前に美濃市に移住してきました。東京では海外とつながった仕事がしたいという想いから食品専門商社に勤め、ヨーロッパからチョコレートや洋菓子の原料を仕入れて卸す調達のお仕事をしていたそうです。海外に興味を持つ一方で地方にも漠然とした憧れがあったそう。東京で地方の魅力を知ることができるようなイベントに積極的に参加する中で美濃市と出会いました。初めは「山と川が綺麗で静かな町だなあ」という印象でした。その当時は美濃に移住するとは思ってもいなかったですが、元々コミュニティや人と話すことが好きだったこともあり美濃に新しくできたシェアオフィス「まちごとシェアオフィスWASITA MINO」のコミュニティマネージャーの募集に応募、そして移住につながりました。

東京と比べた美濃の魅力

移住したきっかけでもある「人に会いに行く旅」に参加した時に出会った地域の人が「大変なんだよ」と言いながらとてもキラキラした表情をしていたことがとても印象的だったそうです。それは東京で働いていた会社には無かったことで「違う選択肢を知ってしまった」という感覚を体験したとのこと。

「美濃に引っ越してきてから一番驚いたことは夜がめちゃくちゃ静かなことですね。東京では飲み屋街にいたのでどんちゃん騒ぎが日常でした。東京にいた時は大きなうねりに流されているというか楽しかったけどよく考えると『自分は何がしたかったんだっけ』と思うこともありました。でも美濃にきてからは地に足がついているというか、自分と対話するような時間が取れている」と感じるそうです。

あと気に入っていることは「暮らしや人との関係が”ちょうどいい”こと」と言います。美濃市は年々人口が減少し今では2万人下回り、少子高齢化の進行が課題とされています。それが逆に自宅と職場や子供の保育園など、コンパクトな距離にまとまっていて便利な暮らしに繋がっていると感じているそうです。美濃市の広さと商人の気質もあり、「解放感と閉塞感が程よく同居した」人間関係、ちょっと疲れたら山や川といった自然に癒してもらうこともできるのもいいところですね。

美濃×コミュニティ

美濃にきてまず苦労したのはWASITAに人を集めること。「最初は全然利用者がいなくて、当たり前かもしれないけれど、まずは人を集めないととその時感じました」

地域の人に知ってもらうためにイベントを企画したり、美濃にはどんな人が住んでいるのか話を聞きに行ったり、地道な取り組みを通じて段々と顔の見える関係になってきたそうです。地域との関係性を構築したところでひとつ気付いたことがあるそうです。

「イベントをやってみても一方的に体験を提供するだけでは一期一会で終わってしまい再訪してもらう事が難しいんです。WASITAとしては継続的に関わってくれる人を増やしたいので体験を提供するよりはもう一歩深く関わっていただき一緒に何かを作るような企画となるように手探りでやっています」と橋元さんは言います。

実際に地域で新規事業を創出するプログラム『UDATSU BITO』が現在進行形で進行しています。『UDATSU BITO』は美濃の豊かな観光資源やローカルの楽しさを満喫しながら、そこで感じたことを手がかりに事業を創造するような企画となっています。実は筆者も『UDATSU BITO』に参加していて、学びと今までにない出会いが得られてとても充実しています。

様々なプレイヤーの活動により、美濃には新しい取り組みをする方々が続々と入ってきています。シェアオフィスとしては主に生産年齢人口がターゲットになってしまいますが、違ったターゲットを持つプレイヤーと仲間になって、WASITAで多様な人が混ざり合い、もう少し上の世代や子供まで交流できるような街になるといいですね。

観光でいらっしゃる方や美濃に移住を考えている方。WASITAには地域の方や移住者の方など多様な人が集まっています。コミュニティマネージャーである橋元さんがハブとなり、今までにない出会いが待っているかもしれません。ぜひ一度足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

information

まちごとシェアオフィスWASITA MINO

営業時間

9:00-17:00 (会員は8:00-22:00)

TEL

0575-36-4843

この記事を書いた人

藤原 拓海

2023年2月から美濃市の地域おこし協力隊としてNPO美濃のすまいづくりに所属。空き家コンシェルジュとして美濃市の空き家問題解決に向けて活動しています。